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特定の場所のみで起こるアレルギー

私が担当した救急車で搬送された患者さんの診察の一こまをご紹介いたします。

50歳の男性で、1週間前から毎日、夜中に寝室に入ると、息が苦しく感じるようになり、
近くの医師を受診しました。そこで「喘息」と診断され、薬を処方されました。

3日前の夜間、あまりに息苦しかったため、救急車をよび、自宅から私の勤務先の病院に救急搬送されました。本人の話では、最初、家から救急車まで移動する際には歩行が困難ないくらい息が苦しいかったそうですが、救急車に入ると呼吸苦の症状が改善してきたとのこと。救急車が病院について、救急車内から「歩いて」おりてこられた患者さんに私はたずねました。
私「寝室に入ってから1時間くらいして息が苦しくなり、寝室から出れば症状はすぐに改善しますか?」
患者さん「それ、めちゃめちゃありますね」
私「それなら、寝室内のハウスダストによる喘息の可能性が高いですね。今日は家に帰らないで、救急病棟のベットでしばらく寝ていてください。寝ているだけで徐々に改善すると思います。薬はいりません。明日は、できるだけきれい好きなご友人のところでとまってください。もし、ご友人の家でねて、夜の睡眠中に全く息が苦しくないのであれば、あなたの寝室だけ、ハウスダストで汚染されているということになり、ハウスダストによる喘息の診断が確定します。治療ですが、喘息の薬はもう飲まなくても大丈夫です。ただ、ダスキンを呼んで自身の住んでいるところのクリーニングをしてください。」
この話のポイントですが、特定の場所のみで急に症状が悪化する場合は、中毒やアレルギーが原因といわれ、今回は寝室のみで急に喘息が起こるということで、すぐに診断がつきました。寝室だけをクリーニングすると、寝室内の喘息の原因となっているものが他の部屋にも巻き散らかる可能性があるので、寝室周辺もきれいにすることが必要です。

実際にこの方は、すぐに部屋のクリーニングをして症状が改善したそうです。
しばらくはいいかと思いますが、なぜ、この方の寝室にだけハウスダストが
たくさん集積したのか、調べる事も今後必要になると思っています。